こんにちは、六連(むつら)です。
夜空を見上げるとき、私たちの目に見える星々のずっと奥深くでは、今この瞬間も人類の「目」が孤独な旅を続けています。
今回は、2006年の打ち上げから現在に至るまで、数々の驚きを私たちに届けてくれているNASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」の活躍と、太陽系の最果ての最新事情をご紹介します!
世界中が驚いた!冥王星の巨大な「ハート」
ニュー・ホライズンズの最大のハイライトといえば、なんといっても2015年の冥王星フライバイ(接近通過)です。
それまで、冥王星は地球からあまりに遠く、高性能なハッブル宇宙望遠鏡をもってしても「ぼやけた光の点」にしか見えませんでした。そのため、多くの科学者が「表面はクレーターだらけの、冷たくて死んだ氷の岩塊だろう」と予想していたのです。
しかし、探査機から送られてきた高解像度の写真を見て、世界中が息を呑みました。そこには、くっきりと美しい巨大な「ハート模様」が描かれていたのです! さらに驚くべきことに、冥王星はただの氷の塊ではありませんでした。氷の火山や、窒素の氷河がゆっくりと流れるダイナミックな地形があり、現在進行形で地質活動が起きている「生きている星」だったことが判明したのです。
さらに奥深くへ!奇妙な雪だるま「アロコト」との遭遇
冥王星での大仕事を終えたニュー・ホライズンズは、そのまま止まることなく太陽系のさらに外側、「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる未知の氷の天体が集まる領域へと突き進みました。
そして2019年の元日、人類史上最も遠い天体探査が実現します。ターゲットは「アロコト(Arrokoth)」と名付けられた天体でした。
姿を現したアロコトは、まるで「赤い雪だるま」のような奇妙な形をしていました。これは、太陽系が誕生した約46億年前の物質がそのままの状態で保存されている「化石」のような天体です。この大発見により、惑星の赤ちゃんがどのようにしてくっつき合い、成長していったのかという謎の解明が、大きく前進することになりました。
ニュー・ホライズンズの現在と「最果て」の最新事情
打ち上げから約20年が経過した現在も、ニュー・ホライズンズは猛スピードで宇宙空間を飛び続けています。
現在は地球から約80億キロメートル以上も離れた、光もほとんど届かない暗黒の世界を航行中ですが、探査機はまだ眠っていません。搭載された観測機器を使って、太陽の風(太陽風)がどこまで届いているのか、宇宙空間のチリの密度はどれくらいなのかといった「太陽系の境界領域」の環境を調査し、貴重なデータを地球に送り続けています。
また、NASAのチームは地球の望遠鏡を駆使して、ニュー・ホライズンズが接近・観測できる「第3のターゲット天体」がないか、現在も必死に探し続けています。もし見つかれば、再び大きなニュースになるはずです!
豆知識
弾丸より速い!猛スピードでの旅立ち
実はこのニュー・ホライズンズ、打ち上げられた時の初速が「地球を飛び立った探査機の中で史上最速クラス」だったことをご存知ですか? アポロ宇宙船が約3日かけて到達した月までの距離を、なんとたったの「9時間」で通過してしまったんです!ライフル銃の弾丸よりもずっと速い猛スピードで、一路、はるか遠くの冥王星を目指しました。
発見者、ついに冥王星へたどり着く
冥王星に描かれた美しい巨大なハート模様は、1930年に冥王星を発見した天文学者クライド・トンボーにちなんで「トンボー地域」と名付けられました。 実はニュー・ホライズンズの機体には、トンボー氏の遺灰がほんの少しだけ積まれています。発見から85年の時を経て、彼はついに自身の見つけた星へとたどり着いたのです。なんともロマンチックで胸が熱くなるエピソードですよね。
太陽の光が届かない場所の「エネルギー源」
冥王星やそのさらに奥のエリアは、太陽から遠すぎて、人工衛星によくある「ソーラーパネル」が全く役に立ちません。そこでニュー・ホライズンズは、「原子力電池」という特殊なバッテリーを積んでいます。 このバッテリーの熱源として使われているのは「プルトニウム」という元素。実はプルトニウムという名前は、冥王星(Pluto)が由来なんです!冥王星由来のエネルギーを使って冥王星の謎を解き明かすなんて、ちょっと運命的なものを感じませんか?
おわりに
かつて「未知の惑星」だった冥王星の素顔を暴き、太陽系の果てを切り拓き続けるニュー・ホライズンズ。いつかその電力が完全に尽き、地球との通信が途絶える日が来たとしても、探査機は人類の好奇心を乗せて、ボイジャー探査機たちのように星間空間(恒星と恒星の間)へと永遠の旅を続けていきます。
次に宇宙のニュースを見かけたら、はるか彼方を一人で飛ぶ、ピアノサイズの小さな探査機のことを、ぜひ思い出してみてくださいね!

